第112号

 

こんにちは。歯科衛生士の赤川です。

みなさんは、もしご自分の歯を失ってしまったら、その後どのような治療を選択されますか。

近年ではインプラント治療も広く知られるようになり、選択肢のひとつとして考える方が増えてきましたが、昔から一般的で、多くの方に選ばれている治療法といえば「入れ歯」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、失った歯の代わりとなる治療法のひとつである「入れ歯」について、少し詳しくお話ししたいと思います。

実は入れ歯には、いくつかの種類があることをご存知でしょうか。

失った歯の本数によって、数本だけを補う「部分入れ歯」と、すべての歯を補う「総入れ歯」に分かれます。

また、費用や使用する材料の違いによって、「保険の入れ歯」と「自費の入れ歯」という分類もあります。

 

今回はその中でも、患者さまからご質問の多い「自費の入れ歯」と「保険の入れ歯」の違いについて、わかりやすくご説明していきます。

まず大きな違いとなるのが、使用される材料や材質です。

 

1つ目は、入れ歯の見た目に大きく関わる人工歯の部分です。

保険の入れ歯の場合、使用できる人工歯の種類が限られているため、残っている歯の色や形と完全に調和させることが難しく、場合によっては見た目のバランスが気になることがあります。

一方、自費の入れ歯では、患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせて、色や形、透明感などを細かく選ぶことができます。

そのため、より自然で、ご自身の歯に近い見た目を再現することが可能です。

 

2つ目は、義歯床(ぎししょう)と呼ばれる入れ歯の裏側の部分です。

この義歯床は、口の中の粘膜に密着し、入れ歯が安定するように支えると同時に、噛んだ力を粘膜に伝える重要な役割を担っています。

 

保険の入れ歯では、義歯床は樹脂、いわゆるプラスチックのような素材で作られます。

この素材は割れやすいため、強度を保つためにどうしても厚みが必要になります。

また、熱を伝えにくい性質があるため、食べ物や飲み物の温度が感じにくくなり、味覚にも影響が出ることがあります。

 

これに対して自費の入れ歯では、金属を使用することが多くなります。

金属は薄く作ることができるため、装着時の違和感が少なく、口の中がすっきりと感じられます。また、熱を伝えやすいため、食事の温度を自然に感じやすく、お食事をより楽しめるというメリットがあります。

 

3つ目は、維持装置と呼ばれる、入れ歯をお口の中で固定する仕組みです。

保険の入れ歯の場合、金属の留め具を使って残っている歯を囲むように固定します。そのため、笑ったときに金属部分が見えてしまったり、装着時に違和感を覚えたりすることがあります。

 

一方、自費の入れ歯では、インプラントを併用して入れ歯を固定する方法も選択できます。

インプラントでしっかりと支えることで、安定感が高まり、外れにくくなります。

また、外から金属の留め具が見えないため、入れ歯を使用していることが周囲に気づかれにくいという大きな利点があります。

 

このように、保険の入れ歯は費用を抑えられるというメリットがある一方で、治療法や技術、使用できる材料に一定の制限があります。

自費の入れ歯は、機能性や見た目、快適さを重視できる反面、費用が高くなる傾向があります。

 

どちらの入れ歯にも、それぞれ長所と短所があります。

大切なのは、ご自身のライフスタイルやご希望、治療に対する考え方に合った入れ歯を選ぶことです。

気になることがあれば、ぜひ歯科医院でご相談いただき、ご自分に合った入れ歯を一緒に探してみてください。