患者さんからよくいただくご相談のひとつに、
「数年前に入れた詰め物が痛いです」
「被せ物の歯だけ噛むと違和感があります」
「虫歯じゃないと言われたのにしみます」
というものがあります。
詰め物や被せ物は治療が終わったら安心と思われがちですが、実は治療後に痛みが出るケースは珍しくありません。
私自身も歯科医院で勤務する中で、定期検診に来院された患者さんから
「治療した歯だから大丈夫だと思っていた」
という言葉を何度も聞いてきました。
実際には、詰め物や被せ物の下で虫歯が再発していたり、噛み合わせの問題が起きていたりすることがあります。
今回は、歯の詰め物や被せ物が痛くなる原因について、実際の相談事例や現場でよく見られるケースを交えながら詳しくお話しします。
詰め物や被せ物は虫歯にならない?
まず勘違いされやすいポイントがあります。
それは、
詰め物や被せ物自体は虫歯になりません。
しかし、その下にあるご自身の歯は虫歯になります。
例えば家の屋根を修理したとしても、屋根と壁の隙間から雨水が入り込めば内部が傷んでしまいます。
歯も同じです。
治療した部分と天然歯の境目にはわずかな段差や隙間があります。
そこに汚れや細菌が入り込み、知らないうちに虫歯が進行していることがあります。
実際にレントゲンを撮影すると、
「見た目はきれいなのに中は大きな虫歯だった」
というケースは珍しくありません。
原因① 詰め物や被せ物の下で虫歯が再発している
最も多い原因のひとつです。
歯科では「二次う蝕」と呼ばれています。
実際の相談事例
40代男性の患者さんです。
「冷たいものがしみるけれど、銀歯だから虫歯ではないと思う」
とのことで来院されました。
見た目には問題ありませんでしたが、レントゲンを撮影すると銀歯の下で虫歯が広がっていました。
銀歯を外してみると内部は大きく崩れており、神経ギリギリまで虫歯が進行していました。
患者さんも
「まさか治療した歯がまた虫歯になるとは思わなかった」
と驚かれていました。
原因② 噛み合わせが高い
新しく詰め物や被せ物を入れた直後に起こりやすい原因です。
治療後に
- 噛むと痛い
- 歯が浮いた感じがする
- その歯だけ当たる
という症状がある場合は噛み合わせが原因かもしれません。
なぜ痛くなるの?
歯は歯根膜というクッションのような組織に支えられています。
高い被せ物を入れるとその歯だけに負担が集中します。
すると歯根膜が炎症を起こし、
「噛むと痛い」
という症状が現れます。
よくある失敗事例
治療直後に
「少し高い気がするけど慣れるかな」
と思ってそのまま過ごす方がいます。
実際には慣れるケースもありますが、高さが大きくずれている場合は自然には治りません。
私が担当した患者さんの中にも、
「1か月我慢したけど痛みが悪化した」
という方がいました。
調整すると数日で症状が改善しました。
遠慮せずに相談することが大切です。
原因③ 歯にヒビが入っている
40代以降の患者さんで増えてくるのが歯のヒビです。
特に
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 神経を取った歯
で起こりやすくなります。
現場で多いケース
朝起きると顎が疲れている方や、
家族から
「歯ぎしりしているよ」
と言われた経験のある方は要注意です。
本人は自覚していなくても強い力が加わっています。
長年負担が蓄積すると歯に小さなヒビが入り、
冷たいものがしみたり噛んだ時に痛みが出たりします。
原因④ 歯根破折
さらに進行すると歯の根が割れることがあります。
これを歯根破折といいます。
残念ながら歯根破折は抜歯になるケースが少なくありません。
実際にあった症例
60代男性の患者さんです。
神経を取った歯に被せ物をしていました。
数年間違和感があったものの放置していたそうです。
ある日突然噛めなくなり来院。
検査すると歯根が縦に割れていました。
患者さんは
「もっと早く来ればよかった」
とおっしゃっていました。
違和感は身体からのサインです。
放置しないことが重要です。
原因⑤ 神経が敏感になっている
虫歯が深かった場合、神経を残して治療すると一時的にしみることがあります。
患者さんから
「治療したのにしみるのは失敗ですか?」
と聞かれることがありますが、必ずしもそうではありません。
神経を残すメリット
歯科医師は可能な限り神経を残そうとします。
なぜなら神経を取ると、
- 歯がもろくなる
- 割れやすくなる
- 寿命が短くなる
からです。
そのため多少の知覚過敏が起こるリスクがあっても神経を保存する価値があります。
詰め物と被せ物ではどちらが長持ちする?
患者さんからよく質問されます。
結論からいうと、
虫歯の大きさによって適した治療法が違います。
小さい虫歯ならコンポジットレジン。
大きい虫歯ならインレーやクラウン。
無理に小さい詰め物で対応すると欠けたり外れたりするリスクがあります。
逆に必要以上に大きく削ることも避けるべきです。
その歯の状態に合った治療法を選ぶことが大切です。
歯科衛生士として感じること
長年患者さんと関わる中で感じるのは、
痛みが出る前から定期検診を受けている方ほど歯を長く残せている
ということです。
痛みが出てから来院される患者さんは、
- 神経の治療
- 被せ物治療
- 抜歯
と治療が大きくなる傾向があります。
一方で定期的にメンテナンスを受けている方は、小さな異常の段階で発見できるため、歯へのダメージを最小限に抑えられます。
まとめ
詰め物や被せ物が痛む原因には、
- 二次う蝕(再発虫歯)
- 噛み合わせの不具合
- 歯のヒビ
- 歯根破折
- 神経の過敏反応
などさまざまなものがあります。
見た目だけでは判断できないことも多く、レントゲン撮影や詳しい検査が必要になる場合があります。
「治療した歯だから大丈夫」
「そのうち治るだろう」
と思わず、違和感や痛みがある場合は早めに歯科医院へ相談してください。
また、症状がなくても年に1回程度のレントゲン検査と定期的なクリーニングを受けることで、トラブルの早期発見につながります。
大切な歯を長く守るためにも、予防と定期検診を習慣にしていきましょう。
歯の詰め物が痛いのはなぜ?放置すると危険なケースと受診の目安を歯科衛生士が解説
患者さんからよくいただくご相談のひとつに、
「数年前に入れた詰め物が痛いです」
「被せ物の歯だけ噛むと違和感があります」
「虫歯じゃないと言われたのにしみます」
というものがあります。
詰め物や被せ物は治療が終わったら安心と思われがちですが、実は治療後に痛みが出るケースは珍しくありません。
私自身も歯科医院で勤務する中で、定期検診に来院された患者さんから
「治療した歯だから大丈夫だと思っていた」
という言葉を何度も聞いてきました。
実際には、詰め物や被せ物の下で虫歯が再発していたり、噛み合わせの問題が起きていたりすることがあります。
今回は、歯の詰め物や被せ物が痛くなる原因について、実際の相談事例や現場でよく見られるケースを交えながら詳しくお話しします。
詰め物や被せ物は虫歯にならない?
まず勘違いされやすいポイントがあります。
それは、
詰め物や被せ物自体は虫歯になりません。
しかし、その下にあるご自身の歯は虫歯になります。
例えば家の屋根を修理したとしても、屋根と壁の隙間から雨水が入り込めば内部が傷んでしまいます。
歯も同じです。
治療した部分と天然歯の境目にはわずかな段差や隙間があります。
そこに汚れや細菌が入り込み、知らないうちに虫歯が進行していることがあります。
実際にレントゲンを撮影すると、
「見た目はきれいなのに中は大きな虫歯だった」
というケースは珍しくありません。
原因① 詰め物や被せ物の下で虫歯が再発している
最も多い原因のひとつです。
歯科では「二次う蝕」と呼ばれています。
実際の相談事例
40代男性の患者さんです。
「冷たいものがしみるけれど、銀歯だから虫歯ではないと思う」
とのことで来院されました。
見た目には問題ありませんでしたが、レントゲンを撮影すると銀歯の下で虫歯が広がっていました。
銀歯を外してみると内部は大きく崩れており、神経ギリギリまで虫歯が進行していました。
患者さんも
「まさか治療した歯がまた虫歯になるとは思わなかった」
と驚かれていました。
原因② 噛み合わせが高い
新しく詰め物や被せ物を入れた直後に起こりやすい原因です。
治療後に
- 噛むと痛い
- 歯が浮いた感じがする
- その歯だけ当たる
という症状がある場合は噛み合わせが原因かもしれません。
なぜ痛くなるの?
歯は歯根膜というクッションのような組織に支えられています。
高い被せ物を入れるとその歯だけに負担が集中します。
すると歯根膜が炎症を起こし、
「噛むと痛い」
という症状が現れます。
よくある失敗事例
治療直後に
「少し高い気がするけど慣れるかな」
と思ってそのまま過ごす方がいます。
実際には慣れるケースもありますが、高さが大きくずれている場合は自然には治りません。
私が担当した患者さんの中にも、
「1か月我慢したけど痛みが悪化した」
という方がいました。
調整すると数日で症状が改善しました。
遠慮せずに相談することが大切です。
原因③ 歯にヒビが入っている
40代以降の患者さんで増えてくるのが歯のヒビです。
特に
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 神経を取った歯
で起こりやすくなります。
現場で多いケース
朝起きると顎が疲れている方や、
家族から
「歯ぎしりしているよ」
と言われた経験のある方は要注意です。
本人は自覚していなくても強い力が加わっています。
長年負担が蓄積すると歯に小さなヒビが入り、
冷たいものがしみたり噛んだ時に痛みが出たりします。
原因④ 歯根破折
さらに進行すると歯の根が割れることがあります。
これを歯根破折といいます。
残念ながら歯根破折は抜歯になるケースが少なくありません。
実際にあった症例
60代男性の患者さんです。
神経を取った歯に被せ物をしていました。
数年間違和感があったものの放置していたそうです。
ある日突然噛めなくなり来院。
検査すると歯根が縦に割れていました。
患者さんは
「もっと早く来ればよかった」
とおっしゃっていました。
違和感は身体からのサインです。
放置しないことが重要です。
原因⑤ 神経が敏感になっている
虫歯が深かった場合、神経を残して治療すると一時的にしみることがあります。
患者さんから
「治療したのにしみるのは失敗ですか?」
と聞かれることがありますが、必ずしもそうではありません。
神経を残すメリット
歯科医師は可能な限り神経を残そうとします。
なぜなら神経を取ると、
- 歯がもろくなる
- 割れやすくなる
- 寿命が短くなる
からです。
そのため多少の知覚過敏が起こるリスクがあっても神経を保存する価値があります。
詰め物と被せ物ではどちらが長持ちする?
患者さんからよく質問されます。
結論からいうと、
虫歯の大きさによって適した治療法が違います。
小さい虫歯ならコンポジットレジン。
大きい虫歯ならインレーやクラウン。
無理に小さい詰め物で対応すると欠けたり外れたりするリスクがあります。
逆に必要以上に大きく削ることも避けるべきです。
その歯の状態に合った治療法を選ぶことが大切です。
歯科衛生士として感じること
長年患者さんと関わる中で感じるのは、
痛みが出る前から定期検診を受けている方ほど歯を長く残せている
ということです。
痛みが出てから来院される患者さんは、
- 神経の治療
- 被せ物治療
- 抜歯
と治療が大きくなる傾向があります。
一方で定期的にメンテナンスを受けている方は、小さな異常の段階で発見できるため、歯へのダメージを最小限に抑えられます。
まとめ
詰め物や被せ物が痛む原因には、
- 二次う蝕(再発虫歯)
- 噛み合わせの不具合
- 歯のヒビ
- 歯根破折
- 神経の過敏反応
などさまざまなものがあります。
見た目だけでは判断できないことも多く、レントゲン撮影や詳しい検査が必要になる場合があります。
「治療した歯だから大丈夫」
「そのうち治るだろう」
と思わず、違和感や痛みがある場合は早めに歯科医院へ相談してください。
また、症状がなくても年に1回程度のレントゲン検査と定期的なクリーニングを受けることで、トラブルの早期発見につながります。
大切な歯を長く守るためにも、予防と定期検診を習慣にしていきましょう。
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